フリーランスによくあるトラブル12選!相談窓口やトラブル回避のコツまで

入門編

「フリーランスでよくあるトラブルってどんなもの?」
「トラブルに合ったら、どう対処すればいいの…」

フリーランスとして独立する際、どういったトラブルが起きるのか、あまりイメージが湧きませんよね。

実のところ、フリーランスは次のようなトラブルに合っています。

フリーランスによくあるトラブル
  • 報酬:支払いが遅れる
  • 契約:急に契約を解除される
  • 業務範囲:一方的に業務内容を追加される
  • 納期や仕事量:無理な納期を伝えられる
  • 情報漏洩:業務上の情報を外部に漏して損害賠償を請求される
  • 著作権の侵害:フリー素材でない画像を無断使用して損害賠償を請求される
  • 納品物の欠陥:成果物のクオリティが低く、報酬が支払われない
  • 納期の遅延:納期が遅れて損害賠償を請求される

報酬の未払いや情報漏洩など上記で挙げたトラブルの対処は複雑な場合もあるため、フリーランスは事前にどう対処するかを知っておくのが賢明です。

そこで当記事では、フリーランスによくあるトラブルを、対処法も交え解説していきます。フリーランスのトラブル相談窓口やトラブルを回避する方法まで紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

  1. フリーランスのトラブルにまつわる基礎知識
    1. フリーランスの約46%がトラブルに合っている
    2. フリーランスのトラブルが後を絶たない理由
    3. トラブルの種類
  2. フリーランスが知っておきたい8種類のトラブル
    1. 1.報酬
    2. 2.契約
    3. 3.業務範囲
    4. 4.納期や仕事量
    5. 5.情報漏洩
    6. 6.著作権の侵害
    7. 7.納品物の欠陥
    8. 8.納期の遅延
  3. 【職種別】フリーランスのトラブル事例12選を紹介
    1. エンジニア系フリーランス
      1. 面識のある受注者だからと契約内容をおろそかにされた
      2. PCの故障で納期が遅れて損賠賠償が生じた
    2. Web系フリーランス
      1. 理不尽なクレームで一方的に報酬を減額された
      2. 支払いの遅延を指摘したら契約を解除すると言われた
    3. クリエイティブ系フリーランス
      1. 成果物を納品したら受け取りを拒否された
      2. 写真の著作権を主張したら謝罪しろと言われた
    4. 接客系フリーランス
      1. 高額な弁償代を請求された
      2. 出版の延期で報酬が支払われなかった
    5. 運送系フリーランス
      1. 給料があまりにも低すぎる
  4. フリーランスのトラブル相談窓口5選
    1. トラブル全般に対応する『フリーランス・トラブル110番』
      1. 相談する流れ
    2. 法務全般に対応する『法テラス』
      1. 相談する流れ
    3. 気軽に相談するなら『独占禁止法相談ネットワーク』
      1. 相談する流れ
    4. 専門の弁護士に相談できる『下請かけこみ寺』
      1. 相談する流れ
    5. 事業課題まで相談できる『よろず支援拠点』
      1. 相談する流れ
  5. フリーランスが事前にトラブルを回避する6つの方法
    1. 1.クライアントの運営元を確認する
    2. 2.クライアントの口コミを確認する
    3. 3.契約書を締結する
    4. 4.エージェントを利用して案件獲得する
    5. 5.フリーランスにおすすめの保険へ加入する
      1. 賠償責任保険
      2. 労災保険
      3. 所得補償保険
      4. 火災保険 / 地震保険
    6. 6.フリーランス仲間を作る
  6. まとめ

フリーランスのトラブルにまつわる基礎知識

ここでは、まずフリーランスのトラブルの概要を3つにまとめて紹介します。

  • フリーランスの約46%がトラブルに合っている
  • フリーランスのトラブルが後を絶たない理由
  • トラブルの種類

それぞれ詳しく解説していきます。

フリーランスの約46%がトラブルに合っている

日本労働組合総連合会によれば、フリーランスとして独立している人の約46%がトラブルに合っています。

ランサーズの調査によれば、フリーランス人口は、2021年時点で過去最高となる1,577万人です。そうなると、約725万人のフリーランスが何かしらトラブルに合っている計算となります。

フリーランスの仕事内容によって、発生するトラブルの割合は異なります。具体的には、以下のとおりです。

仕事内容仕事例割合
文化・芸能・芸術関連音楽制作 / 美術 / 写真撮影 / 演劇など58.8%
コミュニケーション関連接客業 / 教師 / 秘書など54.5%
ものづくり・ものはこび関連建築士 / 通信機器の製造 / トラック配達など54.2%
クリエイティブ関連雑誌制作 / テレビ制作 / ファッションデザインなど51.9%
営業・販売関連携帯販売員 / 化粧販売員など45.8%
事務・ビジネス・IT関連経理事務 / エンジニア / ITコンサルなど44.9%
理・美容関連美容室 / ネイルサロン / エステサロンなど39.4%
暮らし・学び関連キャリアアドバイス / 理学療法など35.2%
からだ・健康関連パーソナルジムトレーナー / 健康管理士など34.8%
出典元:日本労働組合総連合会

なお、フリーランスが合っているトラブルの種類は多岐に渡り、なかでも”報酬関連”のトラブルが多い傾向にあります。トラブル詳細については、以下の表を参考にしてください。

仕事内容割合
不当に低い報酬額31.0%
一方的な仕事の取り消し28.4%
報酬の支払いの遅延25.8%
一方的な仕事内容の変更25.4%
報酬の未払い22.8%
不当な報酬の減額22.1%
継続案件の途中打ち切り18.7%
やり直しの要求17.4%
無理な納期や技術的に無理な仕事内容14.8%
納期の急な前倒し11.7%
出典元:日本労働組合総連合会

このように、フリーランスは数多くのトラブルに合っています。しかし、内閣官房によれば、フリーランスの約3割はトラブルに合っても、取引先に交渉するなどアクションを起こしていません。つまり、トラブルが起きても泣き寝入りしているわけです。

フリーランスがトラブルに合ってもアクションを起こせないのは、次のような現状があるからです。

  • 契約解除を恐れず、トラブル報告ができる環境がない
  • フリーランスを完全に守る法律がない
  • 発注事業者を完全に取り締まる法律がない

フリーランスは会社員とは違って、労働基準法が適用されません。労働基準法は、長時間労働の是正やパワーハラスメントの防止、報酬の支払いの義務など労働者を守ってくれる法律です。

労働基準法で対象となる人は、会社員やアルバイトといった依頼する側と雇用関係がある業務形態です。

依頼する側と雇用関係のないフリーランスは、法律上”労働者”と判断されず、労働基準法の対象外になります。

フリーランスは、労働基準法の対象“外”であるものの、次のような法律により報酬の未払いなど不利益から守られています。

  • 下請法:不当な報酬の減額などを禁止する法律
  • 独占禁止法:報酬の未払いなどを禁止する法律

ただ、公正取引委員会の下請法の概要をまとめると、下請法は「事業規模の大きい企業だけ、下請法を守ってね」という法律です。つまり、小規模な発注事業者は法律を守らなくて良いというわけです。

具体的には、以下の事業者が下請法の対象となります。

  • 発注する側:資本金1,000万円以上の法人
  • 受注する側:個人または、資本金1,000万円以下の法人

見てわかるように、下請法の対象となるかどうかは、資本金額など事業規模によって変わります。

内閣官房の調査によれば、フリーランスの約4割は資本金1,000万円以下の法人と取引しています。そのため、資本金の量だけで法律の対象者を決めている下請法は、フリーランスを完全に守るとはいえません。

しかし、このような状況を踏まえ、2023年4月28日にフリーランス保護法が制定されています。フリーランス保護法では、以下の6項目を発注者に義務付けています。

  • 契約内容の明示:どういう案件を取り組むのか
  • 報酬支払い期日の決定:報酬の支払いはいつまでか
  • 取引の禁止事項の決定:理由なく成果物の納品を断らない
  • 募集情報の的確な表示:案件の進め方はどうするのか
  • ハラスメント対応の義務化:相談窓口を設置する
  • 解除の予告義務:30日前に受注者へ契約解除を伝える

フリーランス保護法では、下請法とは違い、資本金など事業規模に関わらず、発注者が法律の対象となります。そのため、フリーランスの保護を徹底している法律といえます。

ただ、フリーランス保護法はまだ施行されておらず、施行日も未定です。受注者は、フリーランス保護法がいつ施行されるのか、よく確認してくださいね。

「もっとフリーランス保護法について知りたい!」という方は以下の記事をどうぞ。

>>> フリーランス保護法の完全ガイド | 基礎知識やポイント、課題まで

フリーランスのトラブルが後を絶たない理由

多くのフリーランスが報酬の未払いや一方的な契約解除といったトラブルに合っている理由は、以下のとおりです。

  • フリーランスを完全に守る法律がない
  • 契約内容の理解不足
  • クライアントの未熟な体制

先述したように、下請法やフリーランス保護法といった受注者を保護する法律はあります。

しかし、”資本金1,000万円以下”の法人は、下請法の適用対象外です。新しく制定されたフリーランス保護法は、事業規模関わらず発注者に適用されるものの、まだ施行されてません。

そのため、小規模な発注者から仕事を引き受ける受注者は、報酬の未払いなどトラブルが起きても泣き寝入りするしかない現状です。

『納品後60日以内に報酬を支払う』など契約書をきちんと交わしていても、契約内容を完全に理解していない場合、発注者・受注者で認識のズレが起きます。

以下の具体例で、発注者・受注者の認識のズレを理解していきましょう。

契約書の業務内容の欄に『ライティングに関する業務』のみ記載だと、発注者・受注者の認識は異なります。具体的には、以下のとおりです。

  • 発注者の認識:ライティングに関すること全般(記事の企画・執筆・画像作成など)をやってもらう
  • 受注者の認識:記事の企画と執筆だけやる

上記のような認識のズレがあるまま仕事を進めると、発注者に「画像作成もやっておいて」などと言われても受注者は「それは事前に聞いていない」となり、報酬を支払えないなどトラブルにつながります。

ライティングとは、雑誌など紙媒体またはインターネット上に掲載する文章を、わかりやすく書くことです。

一般的にライティングでは、文章を執筆するだけでなく、どういう見出しを挿入するのかといった記事の企画や画像制作なども必要になります。

発注者と受注者との認識のズレに加えて、クライアント側がしっかりとした体制を整えていないこともトラブルが発生する理由です。

たとえば、次のようなクライアントの体制は未熟であるため、トラブルが起きやすい傾向にあります。

  • 報酬を受注者の銀行に振込む経理担当の不足
    • 発生するトラブル:報酬の支払いの遅延・報酬の未払いなど
  • 契約書を締結せず、口約束だけで仕事を進める
    • 発生するトラブル:一方的な仕事内容の変更・急な契約の解除など

これまで解説してきたように、フリーランスは法律で完全に守られません。そのため、トラブルが発生しないよう事前に対策をしていくのが重要です。

たとえば、トラブルを防ぐためには次のような対策が有効です。

  • 発注者の運営元を確認する:どこの会社なのか
  • 契約書を締結する:業務委託契約書など
  • 保険に加入する:損害賠償保険など
  • フリーランス仲間を作る:いつでも相談できるようにする

憧れていたフリーランスになってトラブルが発生した場合、「独立しなきゃよかった…」と後悔しかねません。そのため、トラブル防止できるよう事前に自分で対策をしておいてくださいね。

トラブルの種類

フリーランスによくあるトラブルは、以下の8種類です。

種類
報酬・料金の未払い
・支払いの遅延
契約・急な契約の解除
・作業後の発注の取り消し
業務範囲・伝えられていない業務内容の追加
・必要以上の修正依頼がくる
納期や仕事量・急な納期変更
・発注者による一方的な仕事内容の追加
情報漏洩・業務上の情報(売上・業務管理表等)を外部に漏らす
・ウイルス感染による情報漏洩など
著作権の侵害・フリー素材でない画像の無断使用
・他サイトの文章の無断使用
・納品後、受注者の制作意図と違う形で発注者に成果物を使われる
納品物の欠陥・納品した成果物のクオリティが低い
・システムのバグなど納品物に欠陥がある
納期の遅延・決められていた期日に納品が間に合わない

また、上記で紹介したフリーランスによくあるトラブルは、以下の2種類に分けられます。

  • 発注者に非があるトラブル:フリーランスが訴訟を“起こせる”
  • フリーランスに非があるトラブル:フリーランスが発注者に訴訟を“起こされる”

まず、発注者に非があるトラブルは下記のとおりです。

  • 料金の未払いや支払いの遅延
  • 急な契約の解除
  • 急な納期変更
  • 一方的な仕事内容の変更、追加
  • 受注者の制作意図と違う形で成果物を利用する
  • 納品された成果物を受け取らない

続いて、フリーランスに非があるトラブルは以下になります。

  • 業務上の情報を外部に漏らす
  • ウイルス感染により情報が外部に漏れる
  • 他サイトの文章を無断利用するなど著作権の侵害
  • 納品した成果物のクオリティが低い
  • 決められていた納期に遅れる

このように、トラブルの種類によってはフリーランスが訴訟を起こされる可能性があります。

そのため、フリーランスは、契約書の締結や発注者の運営元の確認など『クライアントに不利益を与えられないための対策』だけでなく、『フリーランスとして必要なスキル習得や姿勢の確立』をしましょう。

フリーランスとして必要な自己スキルや姿勢とは、次のようなものがあります。

  • スケジュール管理:納期を遵守する
  • マネジメント:成果物に欠陥がないか確認する
  • 法律関係の習得:著作権侵害を防止する
  • 契約ルールを守る:仕事の情報は外部に漏らさない

上記で挙げたものは、フリーランスとして独立するうえで不可欠です。スケジュール管理スキルの不足や契約のルールを守れないと、クライアントから多額の損害賠償を請求される可能性があります。

フリーランスとして心配なく働き続けるためにも、スケジュール管理スキルやマネジメントスキルを習得してくださいね。

フリーランスが知っておきたい8種類のトラブル

ここからは、フリーランスが知っておきたい8種類のトラブルをより詳しく紹介します。

  1. 報酬
  2. 契約
  3. 業務範囲
  4. 納期や仕事量
  5. 情報漏洩
  6. 著作権の侵害
  7. 納品物の欠陥
  8. 納期の遅延

実際のトラブル事例も交え、それぞれ解説していきます。

1.報酬

報酬関係トラブルは、フリーランスによくあるトラブルの中で一番多いものです。実際、フリーランス・トラブル110番への相談件数のうち、報酬関係のトラブル相談が32.1%で1位となっています。

順位トラブルの種類割合
1位報酬の支払い32.1%
2位契約内容22.4%
3位受注者からの契約解除8.0%
4位発注者からの損害賠償7.8%
5位作業時間や業務内容、成果物6.8%
6位法律として労働者と認められるかどうか5.7%
7位ハラスメント5.0%
8位受注者からの損害賠償1.1%
9位業務上の怪我0.4%
10位情報漏洩0.2%
11位その他10.5%
出典元:フリーランス・トラブル110番

報酬に関連するトラブルは、具体的に下記のようなものがあります。

  • 報酬の未払い
  • 報酬の支払いの遅延
  • 不当に低い報酬の支払い
  • 一方的な報酬の減額

報酬の未払いや支払いの遅延などがトラブルとして発展するタイミングは、発注者が”意図的”に報酬を支払わない場合です。

単に『発注者の支払い忘れ』であれば、メッセージすれば解決します。

しかし、発注者に連絡しても、「音信不通のまま…」「相談しても支払えないと言われた…」というケースも少なくありません。

発注者の中には、『何かと理由をつけて納品を認めない』『そもそも報酬を支払うつもりがない』など悪質なクライアントも多くいます。

報酬や納期など取引条件に口約束で承諾している場合、トラブルが実際に起きても対処のしようがありません。そのため、フリーランスは泣き寝入りするという結果になります。

フリーランスは、報酬系のトラブルを避けるために『契約書の締結』を心がけましょう。また、いつでも連絡が取れるように、以下の運営者情報は知っておきましょう。

  • 電話番号
  • メールアドレス
  • 住所

少なくとも、発注者の電話番号とメールアドレスはおさえてくださいね。

2.契約

契約に関するトラブルとしては、次のようなものがあります。

  • 急な契約の解除
  • 作業開始後に、発注の取り消し
  • 一方的な仕事内容の追加
  • 報酬の未払いなど金銭に関すること

上記のような契約トラブルは、発注者と受注者との間で納期や業務内容が曖昧なまま仕事を進めているために発生します。

日本労働組合総連合会によれば、契約書を締結しているフリーランスは23.8%です。つまり、口約束で進めているフリーランスの方が多い傾向にあります。

ただ、発注者と契約書を交わしていても、“フリーランスに不利な条件が多い”場合もあります。フリーランスに不利な条件とは、具体的に以下のとおりです。

  • 無理な納期設定になっている
  • 長時間労働を強制させられている
  • 損害賠償の規定が発注にとって有利になっている

フリーランスは仕事を進めるうえで、契約書の締結を心がけるだけでなく、納期の設定や報酬額など取引条件が不利ではないか確認することが大切です。

3.業務範囲

業務範囲とは、『〇〇から〇〇までやってほしい』とった作業内容です。業務範囲に関するトラブルには、次のようなものがあります。

  • 業務内容が伝えられていたものと違う
  • 報酬は変わらず、業務内容だけ増えている

業務範囲でトラブルが起きてしまうのは、発注者・受注者の間で作業内容の理解が曖昧になっているからです。

たとえば、以下の事例で業務範囲のトラブルが起きる状況を確認しましょう。

契約書の業務内容の欄に『ライティングに関する業務』のみ記載だと・・

  • 発注者の認識:記事の企画から記事の執筆・画像制作までライティング作業すべてやってもらう
  • 受注者の認識:記事の企画と執筆だけで、画像制作はやらなくても良い

上記のような認識のズレがある場合、発注者に「画像作成までやって欲しかった」と言われても、受注者は「それは事前に聞いていないからできない」となり、報酬を支払えないなどトラブルにつながります。

業務範囲のトラブルを事前に防ぐため、フリーランスはどこからどこまでを業務内容とすればいいのか、書面かデータ(PDF)で示してもらうよう発注者へ相談しましょう。

上記に加えて、発注者から業務委託を受ける際、フリーランスは『請負契約』なのか『準委任契約』かどうかも明確にしましょう。なぜなら、どちらの契約にするかで業務のゴールが違うからです。

請負契約と準委任契約の違いは、以下のとおりです。

  • 請負契約:受注した仕事を“完成”させて報酬が発生する
  • 準委任契約:引き受けた業務を“遂行する”ことで報酬が発生する

どちらの契約形態かどうかは、以下で判断できます。

  • 途中で仕事を辞めると報酬は受け取れない=請負契約
  • 途中で仕事を辞めても報酬を受け取れる=準委任契約

4.納期や仕事量

納期や仕事量に関するトラブルには、次のようなものがあります。

  • 無理な納期を設定される
  • 仕事を一方的にキャンセルされる
  • 仕事量を一方的に増やされる
  • 仕事量を一方的に減らされる

フリーランスの収入は、仕事量によって変わります。そのため、フリーランスは、自分のタスクを管理しながら案件の受注を調整しています。

案件をうまい具合に受注しながら安定した収入を目指すフリーランスにとって、急な仕事のキャンセルはかなりのダメージです。仕事のために空けていた期間は、あてにしていた収入が得られません。

仕事量の一方的なキャンセルや納期の変更をされた場合、フリーランスは次のような態度で発注者に接することが重要でしょう。

  • 納期の延期や前倒しは受注を見直す
  • 仕事量が増えたら、別途費用を請求する

上記で挙げたことは、契約書の締結前に発注者へ伝えるようにしてくださいね。

5.情報漏洩

売上や管理表など業務上で重要な情報を外部に漏らすと、損害賠償のトラブルに発展します。

そもそも情報漏洩には、以下の2種類あります。

  • “意図”的な情報漏洩:SNSで公開する
  • “非意図”的な情報漏洩:パソコンの紛失 / ウィルス感染

注意が必要なのは、ウィルス感染やパソコンの紛失で情報が外部に漏れてしまうことです。意図的ではないため、情報漏洩した場合「なんてことをしてしまったんだ」と大きく後悔するでしょう。

フリーランスは自宅だけでなく、カフェなど外で作業することがあります。そのため、次のような対策を事前にしておくのが賢明です。

  • MacBookやWindowsなど、指紋認証できるパソコンを使う
  • PCのログインパスワードを複雑にする
  • フリーWi-Fiを使用しない
  • セキュリティソフトを導入する

なお、ウィルス感染やPCの紛失による情報漏洩を避ける一番良い方法は、外ではなく自宅で作業することです。

ただ、なかには「気分転換しながら仕事をしたい!」というフリーランスもいるでしょう。

その場合は、ログインパスワードを複雑にしたり、フリーWi-Fiは使用しないなどセキュリティ対策を必ずやってくださいね。

6.著作権の侵害

著作権の侵害に関して、フリーランスは以下2つのリスクを考えないといけません。

  • 著作権を“侵害する”リスク:他サイトの文章や画像を無断利用する
  • 著作権を“侵害される”リスク:自分の制作意図と違う形で発注者に利用される

フリーランスが著作権を侵害する行為には、次のようなものがあります。

  • フリー素材の画像を無断使用する
  • 他サイトの文章を無断利用する
  • 著作権をすべて譲渡しているもの(ソースコードや記事)を他社に納品する

また、フリーランスは著作権を侵害されることもあります。それは、自分の成果物が制作意図と違う形で発注者や他人に使われる場合です。具体的には、以下のとおりです。

  • デザインツールで作成したイラストを2次使用される
  • 自分の成果物が勝手にSNSやブログで公開されている

著作権を侵害されるリスクに備え、成果物を2次利用する場合、別途料金を支払ってもらえるよう発注者に相談しましょう。

7.納品物の欠陥

納品物の欠陥には、次のようなものがあります。

  • 成果物のクオリティ低い
  • システムのバグなど納品物が完璧ではない

納品物の欠陥は報酬が受け取れないだけでなく、損害賠償のトラブルにも発展します。

フリーランスは、納品物を見直して間違いがないか何度も確認することが重要です。また、契約する際、以下の項目を事前に把握しておきましょう。

  • 納品物に欠陥がある場合、どのくらい自分に責任の範囲があるのか
  • 納品物に欠陥がある場合、どのくらい修正期間をもらえるのか

責任範囲などは、紙またはデータ(pdf)で示してもらうよう発注者に相談してください。

前もって発注者に聞いておかないと、「自分では抱えられないほど大きいトラブルになった…」となるため、注意が必要です。

8.納期の遅延

体調不良や事故などで納品が遅れた場合、賠償責任のトラブルへ発展することがあります。

クライアント側でプロジェクトの進捗管理もあるため、いかなる理由があっても納期の遅延は厳しく責任を問われます。

ただ、病気など意図的でないトラブルも存在します。そのため、フリーランスは、納期より3〜5日前に成果物を仕上げるなど余裕を持ったスケジュール感で進めるのがおすすめです。

また、こまめに連絡を取り合うなどクライアントと信頼関係を築いたり、納期の遅延に関する取り決めを作っておくと事前にトラブルを避けられます。

【職種別】フリーランスのトラブル事例12選を紹介

フリーランスといっても、エンジニアやクリエイターなどさまざまな職種があります。職種によって、よくあるトラブルが異なるのも事実です。

ここからは、フリーランスのトラブル事例を5つの職種に分けて紹介します。

  • エンジニア系フリーランス
  • Web系フリーランス
  • クリエイティブ系フリーランス
  • 接客系フリーランス
  • 運送系フリーランス

それぞれ解説していきます。

エンジニア系フリーランス

エンジニア系に該当するフリーランスは、以下のとおりです。

  • 開発エンジニア:Webエンジニア / フロントエンドエンジニアなど
  • インフラエンジニア:サーバーエンジニア / ネットワークエンジニアなど
  • 営業系エンジニア:サポートエンジニア / セールスエンジニアなど

それぞれ詳しくみていきましょう。

面識のある受注者だからと契約内容をおろそかにされた

フリーランスプログラマーのAさん。よく仕事をしているお得意先から、「いつも使っているシステムを流用できる仕事だから」と子会社の業務を紹介され、契約書を作らずに受注しました。実際に開発を進めるとシステムは稼働せず、必要な工数も想定より大幅に増える結果に。なんとか納品し追加工程分の料金を請求しましたが、答えは「ノー」。払ってもらうのは難しいでしょうか、と電話で相談されました。

引用元:フリーランス・トラブル110番

発注者・受注者同士が親しかったりすると、業務を口約束で進めることがあります。

この事例は、納期や作業内容など取引条件が曖昧なまま仕事を進めた結果、「言った言っていない」と揉めているケースです。

トラブルは、些細なことから発生します。そのため、いくら信頼関係があるクライアントであれ納期や報酬など取引条件は、契約書で明確に決めておくのが大切です。

なお、この事例でフリーランス・トラブル110番は次のような対応をしました。

フリーランス・トラブル110番の対応

まず、Aさんから通常の工程数と今回の工程数との違いを聞き取り

システムが稼働しない原因は、Aさんの作業とは無関係であることが判明

Aさんは訴訟は避けたいため、仲良く問題を解決する和解あっせんの手続きに決定

クライアントが追加工程分の料金を支払うことで和解

PCの故障で納期が遅れて損賠賠償が生じた

PCに無理な使用があり損壊。請負業務の納期に遅延。すでに組まれていた引き渡し後のスケジュールのキャンセル費用(人・場所)が生じた。

引用元:LANCER UNIT

クライアントにもプロジェクトの進捗管理があるため、何の理由があれ納期の遅延は、厳しく責任を問われます。

この事例は、PCの故障で納期が遅延したケースです。

フリーランスは、納期の遅延に備えて次のような対策をしておきましょう。

  • 納期の3〜5日前に成果物を仕上げる
  • 納期の遅延に関するルールを事前に決めておく

スケジュールに余裕をもっておくと、事故や病気など急なトラブルに対応できますよ。

Web系フリーランス

続いて、Web系に該当するフリーランスは以下のとおりです。

  • Webライター
  • アフィリエイター
  • Webマーケター
  • Webディレクター

それぞれ解説していきます。

理不尽なクレームで一方的に報酬を減額された

ライターのFさんはウェブ用のコンテンツを10記事作成することになりました。Fさんは早々に1本原稿を書き上げ、その原稿の内容や構成を発注者に確認することに。特に異論が出なかったため、満足いただけているものと思い、残りの9本の記事も期限内に納品しました。ところが全ての記事を納品した後に、発注者に「君の記事はわれわれが望んでいる方向性のものではない。原稿料は値引きさせてもらう」と言われ一方的に減額されました。Fさんは驚いて記事の修正を申し出ましたが、話を聞いてもらえません。なんとか減額された分も支払ってもらえないですか、とお問い合わせいただきました。

引用元:フリーランス・トラブル110番

この事例は、発注者による一方的な報酬の減額です。

一方的な報酬の減額といったトラブルを避けるためには、契約書で『どういう場合に報酬が減額されるのか』を事前に共有しておくことです。

また、業務を進めるうえで「この箇所について意見頂いてよろしいですか?」とこまめに発注者へ連絡するのも良いでしょう。

報酬や納期など取引条件を口約束で承諾してしまうと、トラブルは対処のしようがありません。そのため、フリーランスは契約書の締結やこまめな連絡をするようにしましょう。

なお、この事例でフリーランス・トラブル110番は次のような対応をしました。

フリーランス・トラブル110番の対応

まず、契約書を見て報酬の決め方を確認

報酬が減額できるのは、『納期の遅延』のみと契約書に記載

Fさんは、仲良く問題を解決する和解あっせんの手続きを選択

発注者は、報酬を契約通りに支払い問題が解決

支払いの遅延を指摘したら契約を解除すると言われた

Eさんはある食品メーカーと、毎月の報酬は翌月25日に支払うという契約で、1年間のコンサルティング契約を結びました。ところが、3か月目から報酬の支払いがだんだんと遅れ始め、半年経つ頃には本来の支払日から1か月も遅れて支払われるようになりました。Eさんは担当者に抗議しましたが、「しかたないだろ。了承できないなら契約は続けられない」と言われてしまいました。きちんと支払ってもらうにはどうしたらいいですか、とWeb相談を希望されました。

引用元:フリーランス・トラブル110番

この事例は、報酬の未払いに関するトラブルです。

Eさんのクライアントは、資本金1,000万円未満の法人となっており、下請法が適用されません。そのため、Eさん自身では問題を解決できない状況です。

下請法とは、報酬の未払いなどフリーランスにとって不利益となる行為を禁止する法律です。

ただ、下請法で対象となる事業者は、下記のように限定的です。

  • 発注する側:資本金1,000万円以上の法人
  • 受注する側:個人または、資本金1,000万円以下の法人

つまり、小規模な法人であれば、法律を守る義務がないというわけです。

この問題は法律上解決しずらいため、Eさんはフリーランス・トラブル110番に相談しています。この事例でフリーランス・トラブル110番は次のような対応をしました。

フリーランス・トラブル110番の対応

まず、Eさんのコンサルティング業務の実績を聞き取り

成果物を納品している事実や発注者が支払いの遅延を認めるメールが存在

発注者は資本金1,000万円以下の法人であるため、下請法が適用されない

Eさんは、和解あっせんの手続きを選択

発注者は未払い分を支払う+今後のコンサル業務について、報酬を減額することで問題解決

クリエイティブ系フリーランス

クリエイティブ系に該当するフリーランスは、以下のとおりです。

  • Webデザイナー
  • グラフィックデザイナー
  • 動画編集者
  • 広告関連の従事者

それぞれ解説していきます。

成果物を納品したら受け取りを拒否された

Dさんはフリーランスの映像制作者です。これまでによく仕事を受けていた制作会社から、プロモーション用ビデオの制作依頼がありました。作品のコンセプトや目指すイメージはどのようなものか尋ねたところ、具体的な話は全くなく、担当者は「今は忙しいから君に全部任せるよ。これまでにお願いしたような感じでいいから。自分で考えて作ってみて」と言い、打ち合わせの時間をほとんど取ってくれません。Dさんは、過去にこの会社と仕事をした際に求められた内容を思い返し、自分なりにイメージしていくつか具体案を提出しました。ところが担当者は、イメージと違うと言って何度もやり直しを命じました。Dさんは要望に応え、なんとか完成品を納品したにもかかわらず、「欲しいものと違うし納期に間に合っていない」と一方的に作品の受取を拒否されました。そこで、「せめてこれまで働いた分の報酬は支払ってほしいのですが」とWeb相談を希望されました。

引用元:フリーランス・トラブル110番

この事例は、契約書を交わしていないことで起きた報酬トラブルです。

口約束の場合、報酬や業務内容など取引条件が曖昧なまま仕事を進めることになります。

この事例では、『成果物の修正(やり直し)』の取り決めが契約書に示されていれば、トラブルへ発展していません。

フリーランスは、契約書を締結することはもちろん、『自分にとって不利な条件でないか』や『曖昧な表現を使っていないか』と契約書の内容自体をよく確認することが重要です。

なお、この事例でフリーランス・トラブル110番は次のような対応をしました。

フリーランス・トラブル110番の対応

まず、Dさんと発注者とのメールのやり取りを確認

発注者は、Dさんからのメールに全く返信していない

Dさんは報酬だけ支払ってほしいため、和解あっせんの手続きを選択

発注者は、Dさんの要求する金額の8割を支払う+今後、制作する前に十分な打ち合わせ時間を確保することで合意

写真の著作権を主張したら謝罪しろと言われた

Bさんは、フォトグラファーとして自身が制作した作品を納品していました。ある日、納品した会社で、納品物が契約以外の媒体で使われていることを見つけ、契約した以外のものに使用しないでほしいと求めました。ところが相手側の会社から「お前は金の亡者だ」「著作権なんて知ったことではない」などの暴言を受け、謝罪しないと今後の発注を停止すると言われ、謝罪させられました。あまりにひどいと感じたBさんは、相談に来られました。

引用元:フリーランス・トラブル110番

これは、フリーランスが著作権を侵害された事例です。先述したとおり、著作権の侵害に関するトラブルは、以下の2種類あります。

  • 著作権を侵害する:他サイトの文章や画像を無断利用する
  • 著作権を侵害される:受注者の制作意図と違うように利用される

この事例は、フリーランスが成果物を制作した意図と違う形で発注者に利用される『著作権を侵害された』ケースです。

フリーランスは、制作した成果物が勝手に利用されないよう『2次利用料をどのくらいにするのか』や『著作権を完全に発注者へ譲渡するのか』を明確にしましょう。

なお、この事例でフリーランス・トラブル110番は次のような対応をしました。

フリーランス・トラブル110番の対応

謝罪しないと契約解除するという発言は、パワハラに該当する

Bさんに承諾を得ず成果物を使い回していることも確認

Bさんは和解あっせんの手続きを選択

発注者は、パワハラを中々認めないものの、問題の解決金を支払った

接客系フリーランス

接客系に該当するフリーランスは、以下のとおりです。

  • 美容員
  • サロン系のスタッフ
  • スポーツトレーナー
  • カウンセラー

それぞれ解説していきます。

高額な弁償代を請求された

Hさんはメイクアップアーティストとしてヘアメイクの仕事をしています。雑誌制作会社からヘアメイクの仕事を3万円で請け負ったのですが、Hさんが担当したモデルからクレームがあったと連絡がありました。ヘアメイクに使用するコテでモデルの私服に穴が開いたため、報酬3万円の返金と50万円の弁償代を要求されてしまいました。「服に穴を開けた記憶はないのですが、支払いに応じなければならないのでしょうか」とWeb面談でご相談いただきました。

引用元:フリーランス・トラブル110番

これは、損害賠償に関するトラブルです。

そもそも損害賠償に関するトラブルは、以下の2種類あります。

  • フリーランスが訴える賠償責任
  • フリーランスが訴えられる賠償責任

今回の事例では、ヘアメイク中にコテでモデルの私服に穴が開きフリーランスが損害賠償を訴えられています。

意図的に不利益を与えた場合、損害賠償の責任は厳しく問われます。

なお、この事例で論争の的になっているのは、フリーランスが請求された損害賠償額は妥当かどうかです。この事例でフリーランス・トラブル110番は次のような対応をしました。

フリーランス・トラブル110番の対応

Hさんと雑誌制作会社に仕事をしていた時の状況を確認

私服が傷んだのは事実だが、50万円の損害はないと判明

ただ、当モデルに迷惑をかけたことは事実

Hさんは私服のお詫び代として5万円を支払い、会社は今後一切Hさんに賠償額を請求しないと合意

出版の延期で報酬が支払われなかった

Cさんはフリーのスタイリストとしてファッション雑誌のスタイリングを担当しました。ところが、クライアントは出版延期を理由になかなか報酬を支払おうとしません。ご自分で何度も掛け合ったCさんでしたが、これ以上自分で交渉するのは難しいと感じ、「金額が問題ではないんです。仕事をしておいて報酬を受け取れないのが悔しいんです。」とメールで相談されました。

引用元:フリーランス・トラブル110番

これは、報酬の未払いに関するトラブルです。

発注者が報酬をフリーランスに支払わない理由は様々ですが、今回は出版の延期が原因です。この事例でフリーランス・トラブル110番は次のような対応をしました。

フリーランス・トラブル110番の対応

クライアントは資本金1,000万円以上の法人であると判明

この事業規模で、報酬の未払いは下請法に抵触する

Cさんに、中小企業庁の下請法違反の申告窓口を紹介

運送系フリーランス

運送系に該当するフリーランスは、以下のとおりです。

  • トラックの配達員
  • 宅配ドライバー
  • 軽貨物ドライバー

それぞれ解説していきます。

給料があまりにも低すぎる

GさんはECサイトの配達員です。1箱につき50円で荷物を配達する契約をしていました。毎朝9時に配送センターに集合して、午後3時までに100個は配達させられます。3時に配送センターに戻ってきた後も、夕方からまた60個は配達します。1日10時間働いても160個配達するのがやっとで、報酬は1日8000円程度にしかなりません。担当者に、報酬を上げて欲しいと要求しても全く取り合ってもらえませんでした。「このままでは生活が苦しく、何とかなりませんか」と電話でお問い合わせいただきました。

引用元:フリーランス・トラブル110番

これは、不当に低い報酬の支払いが原因で発生したトラブルです。

運送系フリーランスは、とくに長時間労働を発注者に強いられています。実際、国土交通省によれば、運送系フリーランスの約60%が1日9時間以上の労働をしています。

今回は、長時間の労働と報酬が見合っていないではないか、というものです。この事例でフリーランス・トラブル110番は次のような対応をしました。

フリーランス・トラブル110番の対応

現在の仕事の稼働状況を時給換算にしてみた

雇用契約なら、最低賃金を大きく下回ることが判明

その旨をECサイト側に相談してみるのはどうかとGさんに提案

アドバイス通り、GさんはECサイトに交渉して報酬の見直しを約束された

フリーランスのトラブル相談窓口5選

ここまで記事を読み進めた人の中には、「実際にトラブルに合ったら、どこに相談すべき?」と思う人もいるはず。

そこで、ここでは、フリーランスのトラブル相談窓口を5種類紹介します。

  • トラブル全般に対応する『フリーランス・トラブル110番』
  • 法務全般に対応する『法テラス』
  • 気軽に相談するなら『独占禁止法相談ネットワーク』
  • 専門の弁護士に相談できる『下請かけこみ寺』
  • 事業課題まで相談できる『よろず支援拠点』

すべて政府が運営している相談窓口ですので、安心して利用できますよ。

トラブル全般に対応する『フリーランス・トラブル110番』

出典元:フリーランス・トラブル110番
運営元第二東京弁護士会
電話番号0120-532-110
サポート対応時間電話:平日のみ11時30〜19時30分
メール:24時間受付
相談できること曖昧な契約 / ハラスメント / 報酬の未払いなど

フリーランス・トラブル110番は、弁護士会が内閣官房や厚生労働省と連携して設置した相談窓口です。

相談費用は無料で、以下の手段であればどれでも相談できます。

  • 電話
  • メール
  • 対面
  • ビデオ通話

「まずは、気軽に相談したい」という人は、メールがおすすめです。一方、「早急にトラブル解決をしたい」という方は、ビデオ通話または対面が良いでしょう。

和解あっせんまで無料で対応してもらえるのも特徴の1つです。和解あっせんとは、トラブルが起きている発注者・受注者の間に入り問題解決のアドバイスすることです。

報酬や納期といった契約トラブルから暴言などハラスメントまで幅広いトラブルを相談できるため、まずはフリーランス・トラブル110番を利用してみてくださいね。

相談する流れ

フリーランス・トラブル110番目に相談する流れは、以下のとおりです。

相談する流れ
  • STEP1
    公式サイトにアクセス > お問い合わせ

    まず、フリーランス・トラブル110番の公式サイトにアクセスします。その後、お問い合わせフォームから相談する内容を送信しましょう。

    相談する前に、次のようなことをまとめておくとスムーズに進みます。

    • 何に対する相談か
    • トラブルが発生した時系列
    • 相談に役立つ資料や証拠

    >>> フリーランス・トラブル110番の公式サイトはこちら

  • STEP2
    トラブルを解決する手段について話し合う

    続いて、トラブルをどう解決するのかをスタッフと話し合います。トラブルの解決方法は、以下の5種類あります。

    • 裁判所:訴訟を起こす
    • 労働基準監督署:法律上”労働者”と認められる可能性が高い人向けの相談
    • 和解あっせん手続き:フリーランス・トラブル110番が無料で実施
    • 公正取引委員会:下請法や独占禁止法の申告手続きなどの相談
    • 中小企業庁:下請法の申告手続きなどの相談
  • STEP3
    実際にトラブルの対処をする

    最後、上記で決定したトラブルの対処法を実施していきます。

    フリーランス・トラブル110番が無料で対応できるのは、和解あっせん手続きのみです。裁判所の手続きや下請法上の申告手続きなどは、自分でやる必要があります。

    そのため、まず和解あっせんでトラブルを解決するのがおすすめです。

法務全般に対応する『法テラス』

出典元:法テラス
運営元政府
電話番号0570-078374
サポート対応時間電話:平日9〜12時 / 土曜9〜17時
メール:24時間受付
相談できることトラブルの法的な手続き / トラブル対処に必要な費用の立て替えなど

法テラスは、2006年に国によって設立された様々なトラブルの相談窓口です。法テラスでは、次のようなトラブルの相談ができます。

  • 契約や支払いに関するトラブル対処の手続き
  • 弁護士会や司法書士会など別の相談機関の紹介
  • 暴言や暴行などハラスメントに関すること
  • 急な契約の解除など労働に関すること

弁護士費用の立て替えをしていることも特徴の1つです。フリーランスの中には、報酬の未払いなどのトラブルが発生しても「お金がないからトラブル対処できない…」という人もいます。

法テラスなら、経済的に余裕がなくてもトラブル対処で必要な費用を立て替えてくれます。無料法律相談も開催しているので、まずは気軽に利用してください。

相談する流れ

法テラスに相談する流れは、以下のとおりです。

相談する流れ
  • STEP1
    公式サイトにアクセス

    まず、法テラスの公式サイトにアクセスします。

    >>> 法テラスの公式サイトはこちら

  • STEP2
    実際にお問い合せする

    続いて、『電話』か『メール』のどちらで連絡するか決めます。

    電話は、そのまま番号にかけるだけです。一方、メールの場合、利用規約に同意したうえで下記の情報を入力して送信します。

    • メールアドレス
    • 年齢や性別
    • 住所
    • お問合せ内容

    半角カナや&、ギリシャ文字等は無効記入となるため、注意してください。

  • STEP3
    実際にトラブルの対処をする

    最後、今後どのようにトラブル対処をしていくか決定します。

    相談者に経済的余裕がない場合は、トラブル対応に必要な費用の立て替えなどの支援をしてくれます。

気軽に相談するなら『独占禁止法相談ネットワーク』

出典元:独占禁止法相談ネットワーク
運営元公正取引委員会事務総局
電話番号03-3581-5471
サポート対応時間メール:24時間受付
相談できること曖昧な契約 / 急な契約の解除 / 報酬の未払いなど

独占禁止法相談ネットワークとは、公正取引員会が商工会議所や商工会と連携して設置した相談窓口です。

フリーランスは次のようなトラブルに合った場合、独占禁止法相談ネットワークを利用するのがおすすめです。

  • クライアントのサービスを強制的に利用させられた
  • 契約書ではなく、口頭でしか発注してくれない
  • 報酬をきちんと支払ってくれないなど

全国約2,300か所の商工会議所及び商工会に相談窓口が設置されているので、気軽に相談できます。

相談する流れ

独占禁止法相談ネットワークに相談する流れは、以下のとおりです。

相談する流れ
  • STEP1
    商工会議所・商工会に相談

    まず、商工会議所・商工会に訪問します。商工会議所・商工会は、全国約2,300か所に設置されています。

    お住まいの地域にあるかどうかは、以下のリンクから確認してください。

    >>> 商工会議所・商工会の設置場所はこちら

  • STEP2
    商工会議所・商工会が公正取引委員会に連絡する

    続いて、商工会議所・商工会がお客様の悩みを公正取引委員会に取り次ぎします。

    トラブル内容によっては、公正取引委員会ではない相談先に変更する場合もあります。

  • STEP3
    商工会議所・商工会が公正取引委員会から得た回答をお伝えする

    最後、商工会議所・商工会が公正取引委員会から得た回答をお客様にお伝えします。

    その後、お客様と話し合いどう対処するかを決定します。

専門の弁護士に相談できる『下請かけこみ寺』

出典元:下請かけこみ寺
運営元全国中小企業振興機関協会
電話番号0120-418-618
サポート対応時間メール:24時間受付
相談できること曖昧な契約 / 急な契約の解除 / 報酬の未払いなど

下請かけこみ寺は、中小企業庁が全国48ヶ所に設置したトラブル相談窓口です。

報酬の未払いなどトラブルに詳しい相談員や弁護士へ無料相談できます。相談方法は以下の3種類用意されています。

  • 電話
  • オンライン
  • 対面

オンライン相談と対面は、公式サイトで事前予約が必要です。

裁判をせずに当事者同士で問題解決する裁判外紛争解決手続も無料対応してくれるため、下請かけこみ寺が近隣にある方はぜひ利用してくださいね。

相談する流れ

下請かけこみ寺に相談する流れは、以下のとおりです。

相談する流れ
  • STEP1
    公式サイトにアクセス

    まず、下請かけこみ寺の公式サイトにアクセスします。

    >>> 下請かけこみ寺の公式サイトはこちら

  • STEP2
    実際にお問い合せする

    続いて、『電話』か『メール』、『対面』のどれで連絡するか決めます。

    電話は、そのまま番号にかけるだけです。一方、メールと対面を希望する場合、公式サイトより事前予約する必要があります。

  • STEP3
    相談員or弁護士と無料相談する

    最後、実際に相談員か弁護士と相談して、今後どのようにトラブル対処をしていくか決定します。

事業課題まで相談できる『よろず支援拠点』

出典元:よろず支援拠点
運営元独立行政法人中小企業基盤整備機構
電話番号03-5470-1581
サポート対応時間メール:24時間受付
相談できること契約関連 / 売上UP / 会社設立など

よろず支援拠点とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が設置した無料の経営相談所です。

各都道府県に1つずつ窓口が設置されており、納期や報酬といった契約回りから売上UPなど経営改善まで幅広く相談できます。

費用は、完全無料で何度も相談可能です。

場合によっては、様々な分野の専門家がチームとして組み問題解決のアドバイスをくれるため、「どうやってトラブル対処すればいいのかな…」と頭を抱えるほど悩んでいる人でも安心ですよ。

相談する流れ

よろず支援拠点に相談する流れは、以下のとおりです。

相談する流れ
  • STEP1
    よろず支援拠点に相談

    まず、お近くのよろず支援拠点に訪問します。よろず支援拠点は、各都道府県に1つ窓口が設置されています。

    お住まいの地域にあるかどうかは、以下のリンクから確認してください。

    >>> よろず支援拠点の設置場所はこちら

  • STEP2
    専門家と相談する

    続いて、専門家と相談し、トラブルにどう対処するのか決定します。

    よろず支援拠点では、解決案を提案した後も、適切な相談窓口の紹介などフォローアップしてくれます。

フリーランスが事前にトラブルを回避する6つの方法

最後に、フリーランスが前もってトラブルを回避する方法を6つ紹介します。

  1. クライアントの運営元を確認する
  2. クライアントの口コミを確認する
  3. 契約書を締結する
  4. エージェントを利用して案件獲得する
  5. フリーランスにおすすめの保険へ加入する
  6. フリーランス仲間を作る

上記6つを具体例も交え、それぞれ解説していきます。

1.クライアントの運営元を確認する

クライアントの運営元がどこか、インターネットやSNSで調べましょう。

報酬を過去に支払っていないなどトラブルを起こしているクライアントは、どこの会社であるのか、不明確なケースが多い傾向にあります。

クライアントの運営元が分からない場合、トラブルが実際に発生しても「どこに連絡すればいいの…」となります。

そのため、クライアントの運営元は必ず知ってことが大切です。運営元だけでなく、次のような情報も確認しておきましょう。

  • 事業内容:どのような仕事内容をメインにしているのか
  • 過去の実績:受賞歴などがあるか
  • 取引先:信頼性の高い取引先か

上記の情報は、公式サイトに記載されていますよ。

2.クライアントの口コミを確認する

優良なクライアントかどうかは、口コミで判断できます。クライアントの口コミは、インターネットかSNSで調べましょう。

報酬の未払いなどトラブルを起こしているクライアントの場合、口コミで注意喚起されていることもあります。

クラウドワークスといったクラウドソーシングサイトを利用する方は、過去に取引をした人のレビューをプロフィールから確認できます。具体的には、以下の画像を参考にしてください。

トラブルの多いクライアントは低評価が多いため、取引を避けるのが重要です。

3.契約書を締結する

お互い納得のいく条件で業務委託契約書を結ぶようにしましょう。

先述したとおり、口約束で仕事を進めるフリーランスは少なくありません。口約束の場合、報酬や納期など取引条件が曖昧になります。

そのため、結果として報酬や業務ルールなどで認識のズレが起き、「言った言っていない」と揉めるんですね。

なお、契約書を締結する際、次のような項目を必ず確認しておきましょう。

  • 業務内容:〇〇から〇〇までと作業範囲が明確になっているか
  • 契約期間:急に契約解除をできるような文言になっていないか
  • 報酬:不当に低い報酬額になっていないか
  • 著作権:自分の成果物を好き勝手に利用されないか
  • 禁止事項:自分によって不利な禁止事項がないか

きちんと契約書を交わしていても、契約内容がフリーランスに不利なことはよくあります。そのため、上記で挙げたような細かい箇所まで契約書で確認することが大切です。

4.エージェントを利用して案件獲得する

フリーランスエージェントでは、キャリアコンサルタントが案件を紹介してくれます。

クライアントが募集側としてエージェントに参加するには、事業内容や過去の実績など信頼性がないといけません。そのため、報酬の未払いなどトラブルを起こす可能性がある発注者は、エージェント側により参加を断られます。

フリーランスエージェントは、利用者が希望する取引条件を実現できるよう努めてくれるため、想像以上に報酬など待遇が良いケースもあります。

「フリーランスとしてうまく生活していけるかな…」と不安な方は、まずエージェントを利用するのがおすすめです。なお、フリーランスにおすすめなエージェントは以下になります。

エージェント特徴案件数こんな人におすすめ
レバテックフリーランス・案件数が業界最大級
・高単価な仕事の紹介実績が豊富
51,859件・色んな案件に挑戦したい人
PE-BANK・手数料が安い
・群馬や長野など地方エリアの案件紹介に強い
4,349件・地方にお住まいの人
Midworks・給与保証などサポート体制が充実
・IT系フリーランスにおすすめ
9,389件・IT系フリーランスの人
TECH STOCK・上場企業の案件が豊富
・福利厚生などサポート体制が充実
7,604件・フリーランスになって間もない人
ランサーズエージェント・求人案件の紹介が早い
・手数料を公開してくれるため、透明性のある契約ができる
12,392件・いち早く案件を獲得したい人
※案件数は2023年7月時点

それぞれ特徴が異なるので、自分の状況に合わせてエージェントを選んでくださいね。

5.フリーランスにおすすめの保険へ加入する

フリーランスは保険に加入しておくと、トラブルが発生しても安心して対処できます。

そもそもフリーランスは、会社員とは違い、労災保険など一部の社会保険が適用されません。

そのため、フリーランスは次のようなリスクに備えが必要です。

  • 損賠賠償が発生したら、すべて自己負担になる可能性がある
  • 業務災害が発生しても、労災保険の給付がない
  • 急な案件の打ち切りで、収入がなくなる

具体的には、以下の保険へ加入しておくことがおすすめです。

  • 賠償責任保険
  • 労災保険
  • 所得保障保険
  • 火災保険 / 地震保険

それぞれ詳しく解説していきます。

賠償責任保険

賠償責任保険に加入していれば、仕事でミスをして損害を与えても、すべての責任を負う必要はありません。

フリーランスは、以下のようなことが原因で発注者に損害を与えてしまうことがあります。

  • 情報漏洩:SNSで勝手に業務内容を公開する
  • 著作権侵害:他サイトの文章や画像を無断利用する
  • 納品物の欠陥:システムのバグなど、成果物が納品クオリティに達していない
  • 納期の遅延:スケジュール通りに納品していない

会社員の場合、民法の使用者責任の規定により、全賠償責任を負う必要はありません。しかし、フリーランスは法律上”労働者”と判断されないため、すべて自己負担になります。

フリーランスとして独立する以上、損害賠償のリスクはゼロではないので、損害賠償保険に加入しておくことが賢明です。

労災保険

フリーランスは労災保険に加入していれば、業務中に怪我した場合、医療費の給付を受けられます。

これまで解説してきたように、フリーランスは会社員と異なり、法律上”労働者”と判断されません。そのため、うつ病や通勤時の交通事故など業務に関連する災難が起きても、医療費は全負担となります。

フリーランスの収入は、仕事量次第です。そのため、怪我などで仕事ができない場合、収入は無くなります。休養期間中は、収入がゼロな状態で医療費を支払うことになります。

このように、収入が安定しないフリーランスは、交通事故など万が一のトラブルに備えておくのが大切です。

なお、厚生労働省によれば、2021年9月1日からUber Eatsなど自転車を使うデリバリーサービスやWebライターといったITフリーランスも労災保険に加入できると発表しています。

所得補償保険

フリーランスは、所得補償保険に加入していると怪我や病気で収入がゼロになるリスクを避けられます。

所得補償保険では、国内外・業務外に関係なく、病気や怪我などで仕事ができなくなった場合、保険金の給付を受けられます。

フリーランスの収入は、仕事量によって変わります。そのため、怪我や病気で仕事ができなかった場合、収入は大きく激減します。

万が一のトラブルに備えておくのが、フリーランスとして働き続けるコツですよ。

火災保険 / 地震保険

カフェや美容室など店舗を経営で必要とするフリーランスは、以下2つの保険に加入しておくのがおすすめです。

  • 火災保険:火災や水災、風災で損害を負った場合に適用される
  • 地震保険:地震による火災や水災を負った場合に適用される

なお、地震保険は火災保険と同時にしか申し込めません。また、地震保険に加入できるのは、居住用の建物と家具や電気など家財です。

そのため、住居部分のない店舗や事務所などは、地震保険の適用外となります。

6.フリーランス仲間を作る

フリーランス仲間を作っておくと、トラブル対処がスムーズになります。

孤独になりがちなフリーランスは、何かと不安になることが多くあります。

フリーランス仲間がいれば、報酬の未払いなどトラブルが発生しても、気軽に相談できます。トラブルの対処法だけでなく、案件獲得でもフリーランス同士のつながりはメリットが多いです。

フリーランスは、次のような方法で仲間を作れます。

  • TwitterやInstagramなどSNSで声かけ
  • セミナーに参加する
  • 会員制のオンラインサロンに入会する

フリーランス仲間は、仕事のモチベーションにも繋がるため、作っておいて損はないでしょう。

まとめ

今回は、フリーランスによくあるトラブルを解説しました。

日本労働組合総連合会によれば、フリーランスとして独立している人の約46%がトラブルに合っています。トラブルの種類は多岐に渡り、なかでも”報酬系のトラブル”が多い傾向にあります。

フリーランスは、トラブルに合った場合以下の相談窓口を利用するのがおすすめです。

  • トラブル全般に対応する『フリーランス・トラブル110番』
  • 法務全般に対応する『法テラス』
  • 気軽に相談するなら『独占禁止法相談ネットワーク』
  • 専門の弁護士に相談できる『下請かけこみ寺』
  • 事業課題まで相談できる『よろず支援拠点』

トラブルを事前に避けるために、フリーランス仲間を作ることや損害賠償保険など保険へ加入しておくことも重要です。

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